TH.Another Room

学生時代に書いた文芸作品をアップしています。

散文詩集「転落」

 0.「俯瞰」

 君は自殺者を負の闇に覆われた脆弱な存在だと思うだろうか。私は、そう思わない。すべての自殺者はマザー・テレサよりも崇高なる魂の持ち主であり、崇高なる叡智を全身に宿した、生きた死者だと信じている。彼等が自死を願うのは、現実の深淵にて拾い上げた、ある二つの理に絶望したためだ。この地球上に生きる全ての人間には、等しく、最愛の者に、最上の不幸をもたらす可能性があるという普遍の真理と、我々が幸福を体感している瞬間にも、大いなる不幸に苦しめられ、深淵をさまよう者が確実に存在しているという自明の理に対して、限りない憎悪を抱いたからこそ、自害したのである。私以外の人間には完全に理解できない考えだろうが、私だけは、よく分かるのだよ。自殺者とは、全ての魂のために祈りを捧げるものであり、青空に真実の神を現出させようと試みる存在なのだと。旧き天神よ。彼等は神の血を引く者である。

 1.「執着」
 
 聖少女のV穴は甘美なる麻薬だ。P棒を侵入させるのが惜しまれるほどに、素晴らしい。私が一六歳の頃に最愛の少女のV穴を舐めたときの快感は未だに忘れられない。聖なるV穴は温かいチヨコレエトの味に似ている。世の男性が好きな食べ物を聞かれる場面において、彼等は何故、「私の大好物は新鮮でクリイミイな美少女のV穴だ。私にとって、それを舐める瞬間は、世界中に幸福の雨が降り注がる奇跡と似ている」と答えないのだろう。そして彼等は聖少女の仮面に白い情熱を噴出する儀式の計画を立てておきながら、けして実行しようとしないのは何故なのだろう? 私なら、たとえ聖少女を絶望の淵に叩き落としてでも、自殺寸前にまで追い込んででも、聖なるV穴を堪能してみせる。しかし残念ながら私には、もう一生、不可能なこと。私のとって唯一の聖少女は、天国という名の地獄へと旅立ってしまったからである。

 2.「明暗」
 
 愛のために――私は死ぬ。父を自殺に追い込む。母に苦悶の涙を流させる。カナリアを悪夢の檻に閉じ込める。哀しみにつぶされた殺戮者のために、祈る。紅と蒼に違いはなく、神は人間の遊具である。好き、と口に出したからといって、本当に好きとは限らない。嫌い、と表現したからといって、憎悪が仮面を嬲り殺すというわけでもない。愛によって、小鳥たちは堕落を歌い、三日月は猫の心臓となる。幸福と文学は未来を目指さなければイノチを失ってしまう。愛のために、夜桜は舞う。青空から童話の書庫を創りだす。愛は偉大であり、破滅であり、常識であり、白い雲である。白痴の枯木こそ、神話の源であり、世界に祈りと罰を与える唯一の植物。自殺者たちは、たしかに神の血を引く者であるが、彼等は白痴の枯木が前頭葉に生えている現実から目を逸している。旧き神を滅ぼすためには、愛と現実から目を逸らしてはならない。

 3.「蜜柑」
 
 空から黄色い雨が降っている。掌についた雫を舐めてみると、意外にも甘い。小便のような味をイメージしていたが、これは紛れもなくオレンジジュースだ。そのことを、自宅の近隣に住む友人にメールで伝えてみた。すぐに返信がきた。「突然すまないが、俺の家に来てくれないか?」何だろう? と思いながらも、彼の家に向かうことに。到着し、中に入ると、玄関にミカン頭の男がいた。比喩ではなく、本当に本物の果物のオレンジ色のミカンの頭なのである。すると彼は両手を器用に使って、頭のミカン皮を、突如、綺麗に剥いた。平均的な日本人の頭部のサイズの、どこが神々しいミカンが現れた。彼は両手で、後頭部のミカンを一つ取ると、それを私にくれた。手に持ってみると、それなりの重量があった。食べてみると、普通のミカンの味だった。何の変哲のない、単なるミカンだった。なぜか裏切られたような気分になった。

 4.「創作」

 暗黒は光明だ。掌は文学だ。すべては核兵器だ。この三つの真理は、炎のパトスと、氷のロゴスと、風のエトスを世界に拡散した結末である。皇帝の製造工程でもある。欲望の松明に点火したところで、桜の木の下より死体が蘇るわけではないと人々は信じているが、所詮は孤独の虚無の理屈に過ぎない。人々は書物の歌声に、飢えている。よろこびを、いかりを、かなしみを、たのしみを、求めている。たとえ他者の感性を強奪してでも、回転したい。己の生爪を剥いででも、満月を自殺させたいのだ。くにゃり、くにゃり、くにゃり。大空の工場で大量生産される堕落の音が、宗教の欺瞞と哲学の罠を見抜き、白い雲からトマトを落とす。数百年前に自殺したホールデン少年は、背中たちのサーカスを観たことがなかったために、首を吊ってしまったのだ。青空は世界に一億二千万人人の自殺者が出現したとしても、ずっと青いまま。

 5.「倒錯」

 大天使の翼は嘲笑う。子犬の音楽を殺害する。天国と地獄が逆転する。黒髪は死者の聖書であり、我等の指先は冥府の王の頭蓋骨であることを、我々は知っているくせに、愚者を装う。賢者とは智を極めし人神などではない。輪廻転生を虚無とみなし、神智を拒絶する一本足の生物であり、それに成ることを彼等は恐れているのだ。自殺者は賢者でない。紅蓮のチューリップだ。彼等に葬送曲は不要である。そして彼等は教えてくれる。生者は手首に詩の眼を現出させなければならないということを。我々が屍となったときに、黄金の虚空を埋めるべき大地を。病まえる子羊たちこそ、真の誠実を体現しているが、巨大な十字架には永遠に理解できない誠実さでもある。恐れることはない。膣は祈りだ。

 6.「遺書」

 虚無。あ;えrjtぐあべh:szgん;べあsj;f:んbまいおgjtjrw・m、:vr:えいあj;fmb:あえりtj:あqwあ;jちあおwrわgな;hrじゃいg@おjkbs;んほqぱt4rぷq;へがjkんd。bkjせ;gljtらえ;あ;sjちrわん;えbりhtgへぐq3:@あwjれfmんvblzすば:;れgjんふぁ:えlhん:虚空がbはえrふぉわ@4tgvん;おいq@あw:rじゃくぉjg@え・あrそいあwjぎおr;えわいgrjk;んbがえつr;うぇjぎじょw4いあ・gbhん@くぁおr;tj2いあq:@おじw34qjくぁtjm42:mぐぃらうえ;gjq34いおうtj4242たい。虚無が。を会えr@・B円r;いt4樹wgbんて:@あswg4点2qwb:あr・bじゃえt;psjrtf・ん@wrh:j;あkめ:bsg;じゃkっじゃああああああああああああああ