TH.Another Room

学生時代に書いた文芸作品をアップしています。

開かぬ朝顔

カプリ・チャコール、を吸いながら、今宵の月に、酔いしれる僕。美酒は暗黒。 何もかも、血肉とさせる、あの日々を、願わくば、もう一度。 帰れぬ二人。常夜の裂け目。もう二度と、戻らぬ過去よ、私を殺せ。 血で血を洗う、恋文の、熱と氷に、赤子と骸、蘇る…

短詩集「逆転する虚無」

「のうみそ」 あかくておいしそうなのうみそ ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぱくぱくぱくぱくぱくげーげーげーげーげーとろとろとろとろぱふぇてくびがたかぶるあしくびがふるえるこまをまわしても むいみ 「じゅうじか」 きりすと まりあ せいしょ もやし…

お星さまへの手紙

ある日ぼくはお母さんを殺しました。人殺しとは心が痛むそうです。お母さんは痛そうだったけど、ぼくは苦しくなりませんでした。どうしてお母さんを殺したかというと、特に理由はありません。何かを好きになることと大差はないと思います。別にぼくは病気で…

散文詩集「転落」

0.「俯瞰」 君は自殺者を負の闇に覆われた脆弱な存在だと思うだろうか。私は、そう思わない。すべての自殺者はマザー・テレサよりも崇高なる魂の持ち主であり、崇高なる叡智を全身に宿した、生きた死者だと信じている。彼等が自死を願うのは、現実の深淵に…

短詩集「流れ落ちてゆく青空」

「らんらんらん」わたしは青空を切り裂いた。空の青は真紅の薔薇となって、ひとりぼっちの少女を喜ばせる。母は眠った。大地は震えていない。鎖から解き放たれた処女は銃を手にして街を徘徊する。夜の剣は眠らない。白銀の降り積もる町のなかで割れる蛍光灯…

詩「切り裂きジャックの証」

切り裂きジャックの証が欲しかった頃俺は赤い血の中に花束を見た一粒の砂の中に吐き気を覚えた天井の蜘蛛に悪意をぶつけた見えないナイフで愛する人を切り裂いた切り裂きジャックの証を手に入れた時夕焼けが俺の目を抉った一杯の水が女神を殺した兵士たちは…