読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

TH.Another Room

学生時代に書いた文芸作品をアップしています。

自殺者の冒険

 0

 

 「この怪奇なる文章データについて」

 

 これは今から一年前に自殺した、とある少年によって創られた物語。

 私は、この陰鬱で摩訶不思議な物語の作者とは、全く無縁の他人だ。たまたま彼の自殺する現場を最初に目撃して、彼が最期まで大切そうに抱えていた大学ノートを奪い取って、私だけが知っている物語にしてみた。

 それから二年経って、ちょっとした事情のせいで、この作品を捨てないといけなくなった。勿体無いので、マイPCに保存しておいたのである。

 本文は1からスタートする。ちなみに所々、私の独断で編集している箇所もあるので、作者本人の意図と違うところもあるかもしれない。

 

 1

 

 絞め殺しましょう、あなたのために。呟きましょう、偉大なる破壊のために。僕は聖なる父母を、消失させます。

 彼等は「失敗作」だから、マフラーと首を同時に斬り裂いてみましょう。エオニア。

 

 マ ちゃん 嘘、ホントは、昨日 ちゃ が 作ってくれた林檎とシチューが恋しくて仕方ないの。

 

 2

 

 そいつは翼を羽ばたかせ、狂い飛び、空に、真っ白を、ぶちまけた。少年・ヒジリは「現実の物語」を嫌う。彼の居場所はテレビゲームの中にしかない。何故なら、彼は現実世界にとってスクラップだから。今日もヒジリはヴァーチャル世界の中でダーツを投げる。投擲物は巨大な教会のてっぺんに立つ白い十字架に当たる。始めてから三分も経たず、ゲームクリア。自分の人生も、これくらい簡単に終わればいいのに。別に死にたくはないけど、生きたくもない。天国にも地獄にも興味がない。ゲームが面白いからプレイするわけではなかった。ただ、ディスプレイの嘆き泣き声が性的な意味で可愛いのだ。それを聞くだけで勃起してしまうぐらい、白百合のようなオジョーサマの存在を、肌が感じてしまうのだ。そのヴォイスはヒジリの好みだ。ぶちぶちと髪を引っこ抜きたくなるぐらい、だ。そして今日もディスプレイは語りかけてくる。

「ミルクちょうだい、ミルクちょうだい、ミルクちょうだい……」

 美少女系のディスプレイはリピートする。ヒジリは甘い白に飢えている、赤い髪の少女が好き好き大好きで仕方ない。時々、自分に向かって渦潮を恵んでほしい。だからやっぱり注射は必要 

 

 3

 

 邪魔者は消した、そのため。ヒジリは、ちなみに、僕のこと。前の文は僕の、短編小説。僕たち魔法を食べて、死なないで生き返りました。クラクラはしません、グニャグナもしません、赤い包丁で手帳とかカレンダーとか、さっき裂いた。どーして? レベルを上げてゴッドさまになりたいから。ホントはハンマーとかスパナがよかったけど、だめでした。愛していたから、愛していませんでしたから。誰裂いたのかしら、僕だれ裂いたのマママママ?お星様の真実はほしいです。だって僕失敗作だから。ゲームの中でしか、ダメだから。死にたいから死のうとして生きようとして、ふらふら頭をふらふら。ぶにゃぶにゃぶにゃ。手指一本、足指を胃袋の中。ぶくぶくうがい。ペッペッ唾吐いて爪剥がしました。バイオレッドシャワー。斧と居間と家と一緒に、ダンス。注射も欠かさない。やっぱり腕に ぷつ しました。

 

 4

 

 ところで僕って悲しい? 別に自分じゃそう思ってないよ、マ ちゃん。だって僕、生まれて最初から僕しかいないんだもん。人の子は僕だけだし、どこにも神様いないんだもん。体ふるえちゃうから 腕に ぷつ 

 

 5

 

 目が覚めると、僕は暗い森の中にいました。右手には、今書いてるこのノート。左手には、赤い斧。どこが赤いかは説明できない。嘘です。ホントは指先が真っ赤なんです。五本の指先が小さな斧なんです。

 僕は進みました、森の筒の中を、虹色でした。突然ぐぐぐぐぐぐっと引き寄せられた先に、元の場所に戻ってしまいました。

 

 青い鳥さんがいました。

 

 6

 

 ばばばばばーど ばばばばばーど ばばばばばーど

 冷蔵庫の内臓からバターを吐き出させて たっぷり塗りました。あとはちみつも塗ってデザートになったバード。

 

でも まずかった

 

 腹の立った僕は 青い羽根をむしって ま ちゃんにあげました ま ちゃんは いつもの写真の中で 微笑んでいます

 

 7

 

 がががが がががが うるさい 工事 夜じゃないのに ページが進んで6時間経った。死の羽根を指で遊んでたら雨が降ってきた。

 だから いいこと思いついた。

 父母を空に塗りました、塗り絵のように。赤と青がきれいにまざって、幸せになれました。

 

 「アッ」という すぐ壊れそうな声も聞こえてきたけど なんだろ

 

 8

 

 うおんうおんうおんぴーぽーぴーぽー

 もしかして 白黒処刑人?

 ごめんね、しばらく地下室に逃げます

 

 9

 

 暗いくらい場所では 白紙も文字もよく見えない

 でも落ち着けます。

 ページを長くかけます。今から行間は空けません読めません。右手指が一本なくしちゃったから、やりにくいけど。

 

 (注・残念なことに9ページ目の、ここから下に羅列している無数の文字は、私は宇宙文字についての知識に乏しいので、まったく解読不能であった)

 

 10

 

 やっと出られて嬉しいな。でも僕どうして神社にいるの? どうでもいいけど、天狗が目の前にいたので書いておきます。

 「生首は大好きかい」ときかれたので、うんと答えると、白髪のをくれました。

 その白髪を一本抜いて地面に撒いてみると、桜の木が一本生えてきました。

 木の幹に触れてみたら、わっか土星が落ちてきました。

 

 それから先のことは覚えてません。

 

 11

 

 いつのまにか、病院のベッドの上で寝ていました。隣のベッドにも人が寝ていました。

 はじめて僕は人間を見つけられて嬉しかった。

 その子は ちょっと ま ちゃんに似ていて可愛かった。きれいな赤い髪と青い目が印象的。

 でも話しかけてみても 話してくれません。言葉が通じないのでしょうか、宇宙人なのでしょうか。

 

 僕は 窓から飛び降りて 薔薇を探しに行くことにしました。

 

 12

 

 すり きず ほね どぼ