TH.Another Room

学生時代に書いた文芸作品をアップしています。

お星さまへの手紙

 ある日ぼくはお母さんを殺しました。人殺しとは心が痛むそうです。お母さんは痛そうだったけど、ぼくは苦しくなりませんでした。どうしてお母さんを殺したかというと、特に理由はありません。何かを好きになることと大差はないと思います。別にぼくは病気ではありません。単に実験してみたかったんです。首をちょんぎったら、どんな風になるのか。ぼくの行いを人々は皆おかしいというのですが、ぼくはそう思いません。ただ、首の断面から美味しそうなミートソースが流れているだけでした。首について興味を持ったことはありません。ただ真実が欲しかっただけなんです。人間の正体は本当は生ごみで、誰だって首をちょんぎれば、国会議員もホームレスも同じです。別にぼくは狂っているわけではありません。ただ死を間近に見たかっただけです。鼠ならぼくの気持ちがわかるでしょう。でもあれだけでは死が足りません。もっと世界はぼくに死を施せ。ぼくは、そうお星様にお願いしました。