詩「切り裂きジャックの証」
切り裂きジャックの証が欲しかった頃
俺は赤い血の中に花束を見た
一粒の砂の中に吐き気を覚えた
天井の蜘蛛に悪意をぶつけた
見えないナイフで愛する人を切り裂いた
切り裂きジャックの証を手に入れた時
夕焼けが俺の目を抉った
一杯の水が女神を殺した
兵士たちは狂える羊の腹の中にいた
世界のどこかで死者が産声を上げた
切り裂きジャックの証を失った間
瞳の奥にある言葉を失った
悪鬼は銃を撃ちまくった
聖者は仮面を外し、豚の顔を晒した
俺は暗黒の中にゆりかごを見た
切り裂きジャックの証を取り戻した夢の中で
俺は太陽を切り裂き、月を目覚めさせた
死者と生者に差がないことを知った
移りゆく季節の中で大地のために祈った
一面の黒の笑顔は何よりも優しかった
だから
切り裂きジャックである必要はなくなっていた
切り裂きジャックの証を空に返した日
夢は必ず叶うと知った
命は誰かのためにあると分かった
愛は俺だけの空を見せてくれた
魂のなかで本当の笑顔が待っていてくれていた