TH.Another Room

学生時代に書いた文芸作品をアップしています。

2017-09-15から1日間の記事一覧

殺戮のルナ・メイジ 7章

窓を開けても、風の音も、虫の声も、死者の囀りすらも聴こえてこない夜だった。「もう九時半ですね」 ドロシーはテーブルの傍から、ベッドの上で部屋の外を眺めているルナに話しかける。「あ……そういえば、一つだけいいですか?」 彼女は満面の笑みを浮かべ…

殺戮のルナ・メイジ 6章

その日の午後は、授業をサボって学校の屋上からシリアルキラーのような青空を眺めていた。今日も聴こえてくる。私たちユダマの使徒らが殺戮してきた、マリアの使徒たちの嘆き声。生まれた時から白い十字紋を体につけていただけで迫害された者どもの悲痛の叫…